謎の飛行機の正体

チナ温泉の小さな滑走路に、似つかわしくないほどの大型飛行機がやってきました。
大きな青い空に輝く機体を堂々と見せつけて、最後の晴れ舞台を飾ったのは、ダグラス(McDonnell Douglas 社)のDC-6という機材です。ダグラスは、現在のボーイング社です。
このDC−6は、航空の歴史を語る上では欠かせない重要な存在です。1947年から1959年の間に700機製造された当時のベストセラーで、日本では1953年から日本航空もこの機材を導入していました。同社はDC−6を主力機として9機保有し、1954年には第二次世界大戦以後の日本としても初の国際線となる、<東京-ホノルル-サンフランシスコ>をこの機材で飛行しました。当時は太平洋を給油なしには通過することはできなかったのですが、それでも日本航空初の国際線として大きな注目を浴びました。ちなみに、当便を利用するにはファーストクラスのみで片道23万4000円だったそうです。当時の物価も考慮すると、相当なお金持ちしか利用できなかったことが想像できます。今でいうと、片道240万円ほどかかるという感覚でしょう。現在は比較的安価で飛行機に乗れる時代になりました。その面でも、航空界の礎を築いてくれたダグラスDC-6に感謝です。
また、アメリカでもよく知られている機体で、同機材DC-6のアメリカ空軍向け機材、DC-6 C-118Aが、ケネディ大統領(J.F. Kennedy)の専用機として使われました。
そうした背景を持つ機材DC-6が、寿命飛行時間を超えて退役となったためチナ温泉にやってきました。チナ温泉の支配人はリサイクルを通した環境保護に興味を持ち、今回も廃品回収ということでもう飛ぶことができなくなった飛行機を航空会社から買い取りました。
青空航空博物館のように、ただオブジェとして置いておくだけでも大変価値のあるものですが、支配人は更なる活用法を考えているようです。その一つの案として、機内を改装してカフェやバーを開き、お客様を喜ばせたいそうです。
これからのリゾートの発展がとても楽しみです。
リゾートにやってきたDC-6は、Everts Air Alaska(Everts Air Cargo)というフェアバンクス空港を主な発着地とする航空会社の主力機だったそうです。機首に描かれているスヌーピーと尾翼のロゴのAlaskaがとってもキュートです。
機内が改装されてカフェになり、運転席が撮影用に解放されたりするのが待ちきれませんが、前回のATさんのブログ写真のようにオーロラの夜空の下で重厚感を醸し出す機体を外から撮影するのも面白そうですね。当分はリゾートの滑走路の隅に置いてあり、日中は安全面から立ち入り禁止ですが、夜間の滑走路は基本的にはオーロラ鑑賞のため解放されているので、どうぞご自由に写真に収めてください。

以下、DC-6のスペックです。
・最高速度:時速644キロメートル
・座席数:36席(国際線)、102席(国際線)
・航続距離:5000キロメートル
・全長:30.66-32.18メートル
・全幅:35.81メートル
・全高:8.66メートル
・エンジン:プラット&ホイットニーR-2800 4基 (4プロペラ)

情報は、ウィキペディアを参照し、写真はアメリカ人従業員のJacobから借用しました。SY

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